Precise Puppy Linux - 571JP

PrecisePuppy-571日本版がリリースされた。僕はWaryPuppy-511-01JP以来、今回まで開発に関わってなかったので、最近の知識がかなり欠落しているが、若干の感想をば。

今回のヴァージョンは本家版Precise Puppy Linux 5.7.1-retroをベースに製作されている。本家版との一番大きな違いはSeamonkeyが削除されてブラウザがOperaだけになったことだろう。それによりサイズが従来のものとほぼ同じになった(本家版はこれまででサイズが一番大きい)。
また、本家版にはPAE(Physical Address Extension)とnon-PAEの二種類があるが、日本語版はnon-PAEのみ。ただパピーは最軽量級のディストロなので、どちらでも一般ユーザにはそれ程関係ないと思う。

あとは、Ubuntu 12.04 LTS(Precise Pangolin)とバイナリ互換性が(一応)保証されているのでUbuntuパッケージが(一応)すべてインストール可能。
パッケージマネージャから簡単にインストールできる。
パッケージマネージャも何気に進化している。

以下、テクニカル....。

日本語入力はScim+Anthy。これは従来と変わらない。
昨今の日本語入力関連ソフトは随分変化したので、これはちょっと古くさいともいえる。

ソフトウェアの日本語化については、非常に進捗している。
パピーではgtkdialogでGUIアプリを非常にお手軽に作成でき、それが大いに利用されてきたが、国際化に難があった。
現在、gtkdialogはパピー本家開発陣が直接メンテナンスするようになっており、通常のGTKアプリのようにMoファイルが扱えるようになっている。
そして、gtkdialogを使用するアプリは全面的に書き直され、なおかつ日本語版でも積極的な翻訳が行われてきた。
*註 未翻訳(或いは翻訳が退化)したものも若干ある(例えばBcrypt)

システム面は、今回あまり触れてないので、ちょっと分からないが....。
バリーさんは相変わらずDbusが嫌いなようだ。
systemdやeudevについては研究中といったところ。
pup_event_XXX(デーモン)の類がシェルスクリプトからBacon(とC)に置き換えられつつある。これは良いニュースだ。

apstartとかバリーさんは興味がなさそう。
起動スクリプトはそんなに変わってない。起動途中でフレームバッファ画面に切り替わるようになった。
非rootユーザでの使用については、まだ発展途上というかんじ。実装途中で諦めてしまったような感じもするが....。

f2fsは積極的にサポートされてる。インストールの検証は....???。
sfs on the fly(SFSファイルのダイナミック・ロード) は最近はテクニカルな検証が行われている様には見えない。僕の勘違いだろうか? かなりいいアイディアだと思うが....。

Momanagerが導入されて言語パックの作成が容易になった。Momanagerはバリーさんが直接開発している。
Woof(パピーの骨組みみたいなもの)の管理は、以前はバリーさんが書いたBonesというバージョン管理システムで管理されていたが、Fossilに切り替わっている。

相変わらずだがバリーさんは、言語の選り好みが激しい。
Baconというベーシック言語が公式サポートされた。
Pythonは入ってない(開発環境devxには入ってる)。
vala/genie は見捨てられたようだ。

カーネルのヴァージョンは3.2.48(SMP)。

それから、2013年秋にバリーさんがプロジェクト・リーダーを降りた

個人的には、上にも書いたが、gtkdialogが進歩した事が非常に大きい。
gtkdialogは、シェルスクリプトと簡単なXMLの知識があれば、素人でもすぐにGUIアプリが作れるので楽しい。
他のディストリも移植してくれないかしら。