笹川良一研究
- 作者: 佐藤誠三郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/07
- メディア: 単行本
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・若い頃、実業家として財をなす
・政治家になる
・戦後、戦犯として「自発的」に巣鴨プリズンに入獄
・モーターボート(競艇)界の「帝王」として君臨する
・様々な慈善事業をする
また、政治や実業家という分野は人々の注目を受けやすく、伝記のネタにもなりやすいが、笹川良一さんは戦後、競艇と慈善事業という特殊な分野で活躍したため、あまり一般の人に知られていない。しかし、戦後の日本を代表するような大人物といってもいいのではないか...と、本書を読んで思った。まぁ伝記なんで良いところばかり書いているのかもしれないが。
以下、興味ある部分の抜粋と感想。
笹川は次のように語っている。「特殊法人になったほうが税金面その他で優遇措置が多い。だが、ともすれば"親方日の丸"的な意識が生じやすい。臨調がメスを入れようとしたのは、じつはこの点なのだ。特に目立つのが高級官僚の"天下り現象"だ。....天下り官僚は在任期間が短いにもかかわらず、....多額の退職金をもらい....再天下りする渡り鳥のケースが多い。私は特殊法人にすれば、このような弊害が出てくると見通していた。トップが天下り組で占められ、一種の利権として短い期間で交代があれば、下は安心して仕事にうち込めるものではない。焼け跡から立ち上がり、民間の有志が考えた仕事は、やはり民間の手で行うべきではないか。....」
しかし、これは笹川良一という、良くも悪くもカリスマ性のある人物のために設えられた仕組みで、汎用性はないかもしれない。
当時は、まさにこの点が、笹川による船舶振興会私物化として、しばしば批判の対象となった。....「競馬(中央競馬会)や競輪(自転車振興会)、オートレース(小型自動車振興会)はいずれも特殊法人であり、中央競馬会を例にとると理事長、幹事、副理事長、運営審議会委員は所管の農林大臣が任命し、任期は最高八年、兼職を禁じられている。」
たしかに、同じ公営ギャンブルなのに、競輪競馬と競艇で組織の仕組みがまったく違うことは、以前から不思議に思っていた。
事実、現在でも日本財団(船舶振興会)の経営は、中央競馬会(競馬)、自転車振興会(競輪)など、他の公営競技売上金の管理団体とくらべて、きわだって簡素であり、また柔軟である。競艇と競輪の売上はほぼ同じであるが、日本財団の職員数が八十九人にすぎず....自転車振興会は、二百二十人の職員をかかえ、売上げが競艇・競輪のほぼ倍ちかくある中央競馬会にいたっては、職員数は千九百人にも達する。しかも会長、理事長はじめ、高給をはむ理事が多数いるのである(その多くが所管官庁からの「天下り」であることはいうまでもない)。